鮮やかな赤色と甘酸っぱい味わいが魅力のいちご!冬から春にかけて店頭に並び、今ではクリスマスシーズンにも欠かせないフルーツとなっているケーキやデザートに添えると、それだけで華が出て見ためも楽しめる人気のフルーツです。
そんないちごを、せっかくなら一番おいしい旬の時期のいちごを堪能したくはありませんか?いちごの旬の時期について、旬の時期の変化や品種ごとの旬、保存方法とおいしい食べ方などを詳しく紹介します。
いちごの旬の時期は「冬と初夏」
「いちごの旬の時期はいつか」と聞かれると、クリスマスのある冬の時期を思い浮かべる方も多いかもしれません。ここで初夏を思い浮かべた方は、なかなかの博識です。実は、いちごの旬は冬も初夏もどちらも正解です。その理由について解説していきます。
本来のいちごの旬は「初夏(4月~6月)」
かつては、いちごの栽培はビニールハウスを使わない露地栽培が主流でした。露地栽培でのいちごの旬は、春から初夏にかけての4月~6月頃です。
実際、俳句ではいちごは初夏の季語で、いちごは初夏に楽しむものだったことがわかります。
現在のいちごの旬は「冬(1月~3月)」
近年は、クリスマスにいちごのショートケーキで祝う習慣が定着したことで、クリスマスの時期に合わせていちごの需要が急増しました。そこで、クリスマスに広がるいちごの需要に合わせるために農家さんによるいちごのハウス栽培化と品種改良が進み、本来の旬よりも早い冬に食べられるいちごが増えたのです。
現在、いちごはハウス栽培が主流で、11月~5月頃にかけて流通しています。その中でも、特に美味しい旬の時期はおおむね1月~3月頃となっていますが、これは品種によって多少の差があります。
旬を長く楽しめるような品種改良も進んでいるため、冬の間はずっといちごをおいしく食べることができるといってよいでしょう。
夏~秋が旬の品種もある
一般的ないちごの旬は冬から春にかけてですが、いちごのショートケーキは一年を通してケーキ屋に並んでいます。旬の時期以外のいちごはアメリカをはじめとした海外からの輸入品もありますが、北海道や東北各県など涼しい地域では、夏から秋にかけて収穫できる「夏いちご」・「夏秋(かしゅう)いちご」も少量生産されています。「サマープリンス」や「なつあかり」などといった名前がつけられています。
このいちごはショートケーキなどの業務用がメインなので、スーパーなどには基本的に出回っていません。
冬のいちごと比べると糖度が低く酸味が強い傾向にあるため、いちご単体で食べるにはあまり向かないとされていますが、ケーキやスイーツとの相性は抜群です。夏や秋にいちごのデザートを食べるときは、夏いちごを意識してみると、より味わいを楽しめそうです。
いちごの主な産地
日本のいちごの主な産地は、栃木県、福岡県、熊本県、静岡県、長崎県です。これらの5県で、全国のいちご生産量の約半分を占めています。
【いちごの主な産地 ※2021年】
- 1位 栃木県:15,000トン(45年連続で日本一!「とちおとめ」が有名)
- 2位 福岡県:14,000トン(「あまおう」が有名)
- 3位 熊本県:9,000トン(「ゆうべに」「ひのしずく」が有名)
- 4位 静岡県:8,000トン(「紅ほっぺ」「きらぴ香」が有名)
- 5位 長崎県:6,000トン(「ゆめのか」「さちのか」が有名)
いちごに含まれる栄養素・どんな人がいちごを食べると良いか
いちごには様々な栄養素が含まれています。また含まれる栄養素によって、どういう悩みや特徴を持つ人がいちごを食べた方がいいかを解説します。
【主要な栄養素】
- ビタミンC: 免疫力向上、美肌効果、疲労回復に役立ちます。いちごは、果物の中でもトップクラスのビタミンC含有量を誇ります。
- 食物繊維: 整腸作用があり、便秘解消に効果的です。
- 葉酸: 細胞の生産や再生を助け、妊婦さんにも必要な栄養素です。
- カリウム: 血圧を下げる効果やむくみ解消に役立ちます。
- マンガン: 骨の形成や代謝に関わるミネラルです。
【その他】
- ポリフェノール: 抗酸化作用があり、アンチエイジング効果が期待できます。
- アントシアニン: 目の疲れを軽減する効果があるとされています。
- キシリトール: 虫歯予防に効果がある天然の甘味料です。
【こんな人はいちごを食べた方がいい!】
- 美肌を目指したい方: ビタミンCはコラーゲンの生成を助け、シミやそばかすを防ぐ効果があります。また、ポリフェノールには抗酸化作用があり、肌の老化防止に役立ちます。
- 風邪を予防したい方: ビタミンCは免疫力を高め、風邪などの感染症を予防する効果が期待できます。
- 妊婦さんや妊娠を希望する方: 葉酸は胎児の神経管閉鎖障害のリスクを低減するため、妊娠初期に特に重要な栄養素です。
- 貧血気味の方: 葉酸は赤血球の生成を助けるため、貧血予防にも効果があります。
- 便秘気味の方: 食物繊維が豊富なので、腸内環境を整え、便通を改善する効果が期待できます。
- 高血圧の方: カリウムには血圧を下げる効果があります。
- むくみやすい方: カリウムには利尿作用があり、体内の余分な水分を排出するのを助けます。
- 目の疲れが気になる方: アントシアニンには目の疲れを軽減する効果があるとされています。
- 虫歯が気になる方: キシリトールは虫歯の原因となる酸を作らない天然の甘味料です。
いちごの保存方法
いちごは保存と食べ方にも気を配ると、より一層おいしくいちごを堪能できます!
収穫したて:常温保存
収穫したての新鮮ないちごは常温保存がおすすめ。フレッシュなおいしさをそのまま保つことができます。
いちごは水気がついていると傷みやすくなるため、洗うのは食べる直前にしましょう。保存容器に移す際は丁寧に取り扱い、傷がつかないように。できる限り早く食べ切るようにしましょう。
収穫から日数が経っている:冷蔵保存
スーパーに並んでいるものは収穫してから数日経っている可能性があるので、冷蔵保存がおすすめ。冷蔵庫のなかでも野菜室に入れてあげると、よりよいでしょう。
傷ついていたり潰れていたりするいちごを取り除いたあとは、水気を拭き取り、ヘタを下にして重ならないように並べます。最後にキッチンペーパーをかぶせて保存するとよいですよ。
長持ちさせたい:冷凍保存
いちごは冷凍すると甘みが落ちてしまいます。そのため、冷凍保存する場合は砂糖をまぶしてから冷凍するのがおすすめです。ただし、いちごはあまり日持ちしないフルーツです。水に濡れると傷みやすくなるため、3日以内をめどに食べきるようにしましょう。もう少し長持ちさせたい場合はヘタを下にしていちごを並べ、上からアルミホイルを被せて軽く包むと、1週間ほど保存がききます。
また、冷凍したいちごをそのまま解凍すると水分でべちゃっとなってしまいます。一度冷凍したいちごは、シャーベットのように半解凍状態で食べるか、スムージーに使用するなど工夫して消費するようにしましょう。
おいしいいちごの選び方
ヘタは緑色で大きいいちご
ヘタは枯れていたり、しんなりしているものではなく、緑色で反るほどピンとしているいちごを選びましょう。栄養が行き渡っていると、ヘタも大きい傾向にあります。いちごの一般的な収穫時期を過ぎた3月以降は、いちご自体も小粒になってくるので、小さいヘタでも反っているものを選びましょう。
形がきれいでツヤのあるいちご
いちごは糖度が高いほど粒が大きくなります。選ぶ時は、大きくて形が整っているものを選びましょう。
形がいびつなものは、受粉がうまくいかず、糖分が行き渡っていない可能性もあります。また、ピカピカとした光沢があるとなおよいでしょう。ぜひ、いちごの表面にも注目してみてくださいね。
つぶつぶが埋もれて見えるいちご
実はいちごにとって “果実” は、つぶつぶの部分です。表面につぶつぶが飛び出しているいちごよりも、埋もれて見えるものを選びましょう。埋もれて見えるということは、それほど果肉がしっかりしている証拠です。水分と養分が行き渡って、糖度が高いというのがよくわかりますよ。
ヘタ周りの果皮の色は赤いいちご
いちごの色の濃さは、おいしさには比例しません。しかし、ヘタ周り全体が赤色かどうかは重要なチェックポイント。
ヘタの根本から赤いいちごは、しっかり熟しておいしい証拠なので、よく確認してみてくださいね。
人気のいちごの品種
僭越ながら、毎日フルーツを口にするわたしより、フルーツのランキングを発表します。
1位:あまおう
堂々の1位は「あまおう」!あまおうは福岡県で生まれ、大粒で整った形をしていて、酸味が少ないのが特徴です。
品種名の由来は、「あ」かい・「ま」るい・「お」おきい・「う」まいの頭文字から来ています。
1粒の大きさがボリューミーなため、食べ応えは抜群です。
2014年に収穫されたもいちごが、「世界最重量のいちご」としてギネス記録に認定されるほどの実力を持っています。
- 流通時期は11月~5月頃
- 旬は1月~4月頃
2位:とちおとめ
2位は「とちおとめ」!とちあとめは、関東で一番生産量の多い品種です。歯ごたえがあり、甘味と酸味のバランスがよいのが特徴です。
- 流通時期は11月~5月頃
- 旬は1月~4月頃
3位:章姫
章姫(あきひめ)は、細長い形と酸味が少ないのが特徴です。静岡県で誕生した品種で、静岡県や愛知県で生産されるいちごの大部分が章姫といわれています。
- 流通時期は12月~5月頃
- 旬は2月~4月頃
まとめ
いちごの本来の旬は春ですが、技術の進化によって冬から初夏にかけて収穫できるようになりました!いちごが店頭に並んでいたら、ご紹介したポイントを参考に、おいしいものを選んでみてください!